東京高等裁判所 昭和43年(ラ)672号 決定 1968年10月17日
抗告人 山田竹常
右訴訟代理人弁護士 坂上富男
主文
原決定を取り消す。
理由
抗告人は「原決定を取り消す。本件競落期日は追って指定する。」との裁判を求め、その抗告の理由は末尾添付別紙記載のとおりである。
記録によれば、本件不動産競売事件(新潟地方裁判所昭和四三年(ケ)第七二号)は抵当権実行による任意競売事件であること、抗告人は昭和四三年九月四日の競売期日において本件不動産(新潟県西蒲原郡味方村大字味方字一号九三三番地一家屋番号二六三番木造板葺平屋建居宅一棟)の最高価競買人となったこと、債務者兼所有者堀欣一は同裁判所に対し、昭和四三年六月一八日付不動産競売開始決定に対する異議を申立て競売手続停止の申請をなし、同裁判所はこれを認めて同年九月六日、同人に金一〇万円の保証を立てしめ本件不動産競売事件の競売手続を右異議の裁判確定に至るまで停止する旨の決定をなしたこと、同裁判所は右停止決定に基ずいて同年九月一〇日抗告人の競落を許さない旨の決定をなしたことが明らかである。然しながら、右競売手続停止決定は前記の如く単に異議の裁判確定に至るまでの一時の停止を命じているのに過ぎないのであるからこのような場合は競落の許否の裁判をすべきでなく、前記異議事件が完結するまで競売事件を前記競売期日の手続の終ったままの状態で停止しておくべきものであるところ、右に反して原審が競落不許の決定をなしたのは違法であって取消を免れず本件抗告は理由がある。よって民事訴訟法第四一四条、第三八六条に従い原決定を取り消すべく主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 中西彦二郎 裁判官 兼築義春 稲田輝明)
<以下省略>